『実験報告』1996年


「当時のアメリカはポップアートの全盛期。街のポスターショップには、マリリン・モンローやクラーク・ゲーブルといった往年のハリウッドスターやビートルズとともに、ウォーホルのポートレイトなどが並んでいた。僕の作品を気に入ってくれていることは会う前に知っていたけれど、そんな伝説の人に会うわけだから緊張しましたね」

 滞在中は朝から夜まで街を歩き回った。そして、アメリカ美術の巨匠のジャスパー・ジョーンズの紹介でジョン・レノンとオノ・ヨーコとも交流を深めていく。

 ある日、横尾のポスターを何度も購入してくれていたニューヨークの画廊に電話すると、オーナーが「明日、うちの画廊であなたの展覧会を予定している」と言う。

「そんな偶然があるのかと思い、すぐに行ってみると、展覧会の飾りつけをしている最中でした。その時のポスター10数点を、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が1点100ドルで全部買い上げてくれました。当時、ウォーホルの『マリリン・モンロー』の値段(100ドル)と同じだったので驚きました」

 横尾の作品は国内より先に、ポップアート全盛期のアメリカで高く評価された。活躍の場は世界に広がり、翌年、青竹に吊るされた女性を表現した『責場』3作品でパリ青年ビエンナーレ版画部門グランプリを獲得した。1972年にはMoMAで、現存するグラフィックデザイナーとして初の個展を開く。その後、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレで金賞を受賞するなど数々の賞に入選、世界各地で展覧会を開いた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
大の里の調子がイマイチ上がってこない(時事通信フォト)
《史上最速綱取りに挑む大関・大の里》序盤の難敵は“同じミレニアム世代”の叩き上げ3世力士・王鵬「大の里へのライバル心は半端ではない」の声
週刊ポスト
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎ストーカー殺人事件》「テーブルに10万円置いていきます」白井秀征容疑者を育んだ“いびつな親子関係”と目撃された“異様な執着心”「バイト先の男性客にもヤキモチ」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《田中圭との不倫疑惑》永野芽郁のCMが「JCB」公式サイトから姿を消した! スポンサーが懸念する“信頼性への影響”
NEWSポストセブン
騒然とする改札付近と逮捕された戸田佳孝容疑者(時事通信)
《凄惨な現場写真》「電車ドア前から階段まで血溜まりが…」「ホームには中華包丁」東大前切り付け事件の“緊迫の現場”を目撃者が証言
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン