小田急沿線火災、JR神田駅での乗客リュックサック出火、東京メトロ銀座線での白煙騒動など、鉄道炎上事故のニュースが多い近頃。昨今他に鉄道関連で話題になった内容を振り返ってみると、「線路内立ち入り」で“ネット炎上”するケースが増えてきていることに気づく。
昨年は“インスタ映え”を求めて、線路内に寝転んだ写真を投稿した男性や、同様の内容で動画を投稿した女子高生が書類送検された。北九州市のモノレール線路に下りた中学生男子が便所で用を足すポーズをしたり、喫煙をするなどし大炎上してテレビでも紹介されるなどの珍事もあった。
さらに極めつけは今年1月、松本伊代がブログにUPした早見優との2ショット写真が、ロケで訪れた京都市内のJR山陰本線の立ち入り禁止線路だったことを受け、炎上。2人は書類送検され、謝罪に追い込まれた。結局番組で2人の登場する回は放送中止に。その後、なぜか観光名所化し、一般人が多く立ち入る事態となった。また、春には痴漢を疑われた人物が続々と線路内から逃げ出す騒動も続出した。
当然、線路内に立ち入れば、自身の命が危険に晒されるだけでなく、多くの罪に問われることになるため、絶対に避けるべきなのは、言わずもがなである。
ただ、行動心理学の専門用語で「カリギュラ効果」というものがある。「絶対にやらないでください」と禁止されると逆にやりたくなる、というものだ(「絶対に押すなよ」と言われると押したくなる“アレ”である)。この効果を考えると、極端に言えば「絶対に線路内に立ち入るな」という指摘は潜在的に「線路に入りたい」と考える人にとっては逆効果になるのではないだろうか。
ということで、こんなことを思った。「どうしても線路に入りたくなってしまった人」向けの安全な解決策はないのか――調べてみたところ、日本各地にその欲求を解消するスポットがあったので紹介する。
◆線路をマウンテンバイクで疾走! 「ガッタンゴー!!」(岐阜県飛騨市)
自転車と廃線後の鉄路を組み合わせたアクティビティ。線路に自転車が固定してあり、トンネルや橋梁のあるスリル満点のコースを堪能できる(写真参照)。
◆紅葉の季節にぴったり 「旧国鉄福知山線跡」(兵庫県西宮市)
立ち入りが制限されていた区間(主に西宮市域)での安全対策工事が完了し、昨年秋から一般開放。武庫川渓谷の美しい景色を楽しむことができる。(紅葉シーズンは例年11月中旬~下旬)
◆廃線だけじゃない「十勝バス 鉄道遺産めぐりバスツアー【士幌線・広尾線廃線30年記念企画協 賛事業】」(出発地:北海道帯広市)
十勝鉄道史の専門学芸員が同行するほか、通常公開されていない駅舎なども見ることができる。広尾線コース(9月24日)、士幌線コース(10月1日)の2コースがある。
これらに限らず、日本には廃線を観光資源として活用しているスポットが多々あるようだ。なお、JR中央線の国立駅北口の一部エリアには、かつて廃線路があり、地元住民は「道」として活用していた。現在はなくなっているが「あそこを歩いて駅まで行くのは楽しかった。なんか、『スタンドバイミー』みたいでワクワクしていた」(国立駅を利用する会社員)というコメントもあるように、線路は時に入りたくなる衝動もあるようだ。ただし、通常の線路に入るのは絶対にダメである。
文/パーシー(フリーライター)