◆「老い」を探していきます
2011年に「大動脈弁狭窄閉鎖不全症」の大手術を受けた武田は、身体に気を遣い、夜9時半に寝て、朝5時に起きるという生活をひたすら繰り返している。
「食事は、母ちゃんが2~3日分を保存容器に詰めてくれたものを温めて食べています。外食ばかりじゃ、ひっくり返っちゃうと言うんで。青野菜、トマト、煮物、それに炊飯器を持ち込んで5分づき玄米を炊いてます。
それで夜は、芋焼酎を一杯飲みながら野球観戦。ソフトバンク戦を見ると興奮しちゃうので、自分に刺激を与えないようにと興味のない阪神戦を見るんですけどね(笑い)。もう、芸能人のげの字もない生活です。
若ければ、絶対に四条あたりへ出撃しているところですけど、年を取るとまったく興味がない。太秦の薄暗いホテルで、悶えることも何もなく、すぐに眠れるんです」
週末東京に戻れば、レギュラー番組の収録が待っている。ラジオ『今朝の三枚おろし』(文化放送)のパーソナリティもそのひとつ。1冊の本を取り上げ、自身のエピソードを挟みながら、書籍の内容を掘り下げていく番組だ。
武田自身もこの10月に『アラ還とは面白きことと見つけたり』(小学館文庫)を出す。漢字研究の第一人者・白川静や哲学研究者・内田樹、鎌倉時代の禅僧・覚心らの言葉に触れながら、人生を論じた好著だ。取材中も再三、その博識ぶり、興味関心の広さは感じていたのだが、支えているのは、飽くなき好奇心なのだろう。