「どうしようどうしようって、養子縁組についてスマホで検索していたら、インターネット赤ちゃんポストのホームページにたどり着いたんです。『里親さん募集』という見出しで、手続きなどが詳しく書いてあって。それを見て“私の他にもいるんだ”って、励まされた気持ちになりました」(Aさん)

 今年5月、彼女は悩みながらも同サイトに自身の現状を綴ったメールを送った。

「すぐに返信があり、スタッフさんと面談することになりました。家族にも相談できずにいたことを初めて打ち明けることができて、ホッとしました。その場で金銭面の説明もいただきました。赤ちゃんを無事に里親さんに引き渡すことを第一に考えていたのでお金は二の次だったのですが、病院での検査も必要なので、やはりお金の相談は大切だと感じました」(Aさん)

 すぐに会員登録を済ませ、里親募集に名乗りを上げると、間もなく候補が決定。生活費の援助も始まった。

 事情を知らない2人の子供は膨らんでいく母のお腹の中に新しい命を感じ、きょうだいが増えることを純粋に喜んでいたという。迎えた出産当日──。

「2500gの元気な女の子でした。子供たちが“かわいいかわいい”って、代わりばんこにずっと抱っこしてるんです。入院は4日間。赤ちゃんと一緒にいられるのはその間だけです」(Aさん)

 退院の日には里親に引き渡さなければならない。子供たちに事情を話すと、2人とも大声で泣いた。

「当日、子供たちは学校で、引き渡しには私1人で行きました。最寄り駅近くのレストランで、お世話をしてくれたサイトのスタッフさんと、他県から来てくれた里親さんとお会いしました。病院からずっと泣きっぱなしで、お店に着いたら泣きやまないと、と思っていたのですが、やっぱり涙が止まらなくって…。里親さんに会うべきか悩みましたが、会ってよかった。とてもいいご夫婦でした」(Aさん)

 赤ちゃんはAさんの腕から里親の腕に移った。この日以降、一度もわが子には会っていない。

「今でも思い出すと涙が出ます。でも、私では絶対に育てられなかった。あの子が元気でこの世界に生きている。そのことがなにより嬉しい。あのサイトに出会えて、心からよかった」(Aさん)

※女性セブン2017年10月12日号

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