選挙のたびに風向きが変わる東京では、他にも辻清人氏(2区、当選2回)、若宮健嗣氏(5区、同3回)、越智隆雄氏(6区、同3回)ら当選回数の浅い自民党候補が少なくない。
さらには、獣医学部新設問題で“加計ありき”のプロセスに深くかかわったとされる萩生田光一氏の24区も「小池氏が刺客を放ち象徴選挙区に仕立て上げる」(都政記者)とみられている。
希望と民進が“合流”に合意するタイミングと前後して、参院東京選挙区選出の蓮舫・前民進党代表の鞍替え出馬説など、自民大物議員の選挙区への“女刺客情報”が飛び交い、自民党の各陣営はさらなる混乱と疑心暗鬼に陥っている。もはや東京に自民が安泰な選挙区など存在しないのだ。
7月都議選のようなドミノが起きれば、2009年の逆風下でも勝ち残った元都連会長の石原伸晃氏(8区)、前都連会長の下村博文氏(11区)、平沢勝栄氏(17区)、井上信治氏(25区)の4人さえ危うい。自民は「東京全敗危機」に瀕しているのである。首都での大敗は非常に大きな意味を持つ。政治アナリストの伊藤惇夫氏がいう。
「安倍首相がわざわざ強調した『自公で過半数』という“低すぎる勝敗ライン”になんとか届いたとしても、東京で大惨敗となれば党内の権力構造に大きな揺らぎを引き起こす。都議選惨敗で傷がついた“選挙に強い総理”という神話は完全に崩壊することになる」
東京の選挙結果は、そのまま政権の命運にもつながっている。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号