「副総理」の発言は国際関係にも影響を及ぼす。実際、“射殺発言”は韓国から激しい批判を招いた。
深刻なことに、本人は「自覚ゼロ」だ。麻生氏はわずか3週間前、「ヒトラーはいくら動機が正しくても駄目」とナチス擁護と受け取れる発言をしたばかり。2013年にも“ナチス舌禍”を引き起こしている。
何度咎められても止まらないのは、多少の「際どい発言」では政権が揺らぐことがない、という“一強の驕り”があったからだ。
その空気は政権全体に広がっている。二階俊博幹事長は「森友・加計疑惑」を「そんな小さな問題」と言い放ち、“多少の本音が報じられても選挙に負けない”と考えていることがよくわかった。
菅義偉官房長官にしても、そもそも加計疑惑がこじれたのは文科省の内部文書を菅氏が「怪文書」と無視したからだが、反論に窮すると「(会見は)質問に答える場所ではない」と責任放棄。
竹下亘総務会長に至っては北朝鮮のミサイル計画を巡り「島根に落ちても何の意味もない」とふざけた“分析”をしてみせた。
7月の都議選最終日、安倍首相は秋葉原の街頭からあがった「辞めろ」コールに対し、「こんな人たちに負けない」と指差して言い放ってみせた。この政権が有権者をどう見ているかよくわかる一幕だった。その都議選で自民は惨敗。今度は全国の有権者が自民党に手痛い審判を下す番だ。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号