「ほとんどが独身世帯ですが、まれに家族単位の所もあります。子供は生まれた時からゴミ山で生活しているから、不思議にも思ってない。以前、そういう家の清掃をやった時は、幼児がお絵かきでゴキブリを描いていた。“ゴキブリって噛みついてくるんだよ”と教えてくれて。完全に虐待ですよ」(佐々木社長)

 佐々木社長がこれまで遭遇した最悪の現場は、ある40代女性がひとりで暮らす1Kの部屋。

「ゴミが天井まで積み重なるのは序の口。便器は汚物で詰まり、浴槽にも大量の排泄物を溜めこんでいた。周囲にはウジ虫が大量に発生し、もちろんゴキブリもいたるところにいる。ベッドにはきのこまで生えていました」(佐々木社長)

 依頼者は、この状況で会社勤めをしていたというのだから驚きである。それまで普通に生活していた人間が、恋人との別れや家族との死別等で精神的に落ち込み、一気にゴミ屋敷化する例も少なくないという。

「トラウマというか、心の傷が原因だったりね。今は人間関係が希薄なので、支える人もいない。ゴミ屋敷は、ある種の現代病なんです。最近は電車に乗っていてもにおいでわかる。あぁ、この人ゴミ溜めで生きてるな、と。名刺を渡したくなりますよ(苦笑)」(佐々木社長)

 ちなみにゴミ屋敷が発生しやすいエリアもあるそうだ。

「都内だと、新宿から武蔵野にかけての中央線沿い。区でいえば新宿、中野、杉並あたり。大学があって、ひとり暮らしの学生が多いのが要因だと思います。逆に少ないのは葛飾、荒川、台東など東京の東側。人情深い下町の名残で、ゴミ屋敷になる前に隣近所の人が異変に気づいて介入するんです。この傾向は関西でも同じ。閉鎖的な京都がいちばん多く、兵庫、奈良の順に続く。意外にも大阪は少ないんです」(佐々木社長)

 時にはうるさく感じられる他人の目が、ゴミ屋敷の繁殖を防いでいる。

※女性セブン2017年10月19日号

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