国内

名ばかり芸能事務所にスカウトされた「美魔女予備軍」の末路

名ばかり芸能事務所の標的は若い女性だけではない

 モデルやタレントにならないかと声をかけ、事務所登録料、レッスン料などを払わせるだけのビジネスがある。芸能の仕事どころか、出演者オーディションを受ける機会すら確保しない、名ばかり芸能事務所による搾取ビジネスのひとつだ。このやり口は、きらびやかな世界への憧れを利用した、主に若い女性をターゲットとしたものだった。ところが最近では、対象年齢の幅が広がっている。とくに押切もえや益若つばさなど、芸能人として成功した読者モデル出身者が同年代に多い30代の女性が狙われている。ライターの森鷹久氏が、思春期に抱いた夢につけ込まれ、疑いつつも諦めきれない女性の複雑な女心をきいた。

 * * *
 私って騙されているんでしょうか──

 私は以前”インチキ芸能事務所”の実態や、その事務所代表が犯した罪についてレポートを書いた。その記事を読み、筆者にコンタクトしてきたのは都内在住の30代女性・マイコさんだ。マイコさんから届いたメールには、とある芸能事務所のホームページのURLと、自身がその事務所に所属した経緯などの詳細が記されてあった。

「幼い頃から芸能界への強い興味がありましたが、いくらオーディションを受けてもダメで、小さな事務所に所属したこともありましたが仕事は全く無く……。普通に就職しその後独立。安定したこともあり、どうしても夢を諦めきれないと思って……」

 実はマイコさん、労務事務所に勤めた後に行政書士として独立。現在は3名の部下を抱える、事務所の”所長”でもある。税理士資格の取得にもチャレンジ中であるが、ふとある時”かつて夢見た”という芸能界への憧れを思い出した。美魔女ブームなど、年齢に関係無くモデルやタレントとして活躍できる時代になった、そう感じたのである。

 若い頃に比べて金銭的にも時間にも余裕ができたマイコさんは、頭の先からつま先まで手を抜くことなく、実際に見た目は”セレブ”。新宿や表参道で”スカウト”されるようになったことも、彼女を後押しした。しかし……。

「大手の事務所はそもそも年齢制限があり応募すらできない。中堅事務所に書類を送り面接まで行ったところもありましたが、結局落とされて。スカウトされた事務所に電話をしたら、一発で採用をいただきました。ちょっとしたモデルでもいいから、とにかく人前に立つ仕事がしてみたかったんです。ところが、いきなり宣材(宣伝用)写真の撮影料に登録料、レッスン代を支払えと言われてしまい、私が出すの? と不思議でなりませんでした。でも、他に私を使ってくれそうなところはありませんから、全額支払いました」

 マイコさんが所属する芸能事務所「X」のホームページには、所属タレントやモデルの一覧があるが、ほとんどが無名。モデル欄にはマイコさんの他にもう一人しかおらず、出演実績はゼロ。宣材写真に至っては、写メとプリクラといった有様だ。マイコさんの実績欄を見ても、プロのモデルと言えるような実績はなく、十数万円を支払い撮影した写真も全体的にピンが甘く、光の当て方もイマイチ、当然加工もされておらず、とてもプロのカメラマンが撮ったものとは思えない。

 マイコさんに最近の仕事と、そして事務所にどのような名目でこれまでにいくら支払ったのかを聞いた。

「最近の仕事…? 埼玉県内の夏祭りで着物ショーに出ましたね。あとは、ネットのモデルです。”フリー素材”のモデルだったり、手タレ、足タレの仕事です。所属して一年半が経ちますが、最初に40万くらい支払って、今も定期的にレッスン代の10数万円を支払っています。ギャラはほとんど貰えません。一回の撮影で交通費込みの三千円とか。……言ってて情けなくなりますが、やっぱり騙されてますよね」

 大手芸能事務所関係者は、人の夢に漬け込んだ「事務所商法ビジネス」の存在を指摘する。

関連記事

トピックス

峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン