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【著者に訊け】山口ミルコ氏 『似合わない服』

◆魂のライブ感が凄まじいんです

 第5章「つぶつぶたち」にこうある。〈がんの幹部は、権力者なのか〉〈ちがう〉〈ほんとうに力をもっていたのは、無数の小さなツブである〉〈私たちは一人一人がまんまるい一個の地球だ〉〈体のなかで起こっていることは世界で起こっている〉そのツブツブこそが異変を報せてもくれた今、彼女は脱近代やアンチ資本主義といった既存の論理に頼ることなく、微力なツブとして考え続けることを選ぶ。

「何か強大なものに縋って病気になるのは、もうコリゴリ。だったら多少遠回りしても自分のことは自分でやり、いわゆる断捨離ともエコロジストとも違う自分なりの方法論を模索する、一人立ちならぬツブ立ちの話に結局は行き着いて。

 そのためにも身体感覚を鍛える必要はあって、身の周りのことを丁寧にやるだけでも、その能力は上がる。三度三度の食事をきちんと用意し、いかに少ない水で食器を綺麗に洗うかとか、今はそういう小さなことを楽しんでやっています」

 しかし世は80年代ブームとかで、バブル期の風俗が再び脚光を浴びてもいる。

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