この興行、3日目に「ウルトラマン」「ホテトル」など喬太郎が普段からネタにしているお題が出てきてしまったため、4日目の「お題取り」から弟弟子の柳家喬之助が「昔、この兄弟子が子供たちから『みかん』『水たまり』『電気』というお題をもらって名作『母恋いくらげ』が生まれました。皆さんも子供に負けないように」と、お題の出し方についてやんわり注意を促すようになった。それが4日目・5日目の傑作につながったとも言える。三題噺はお題を出す観客側のセンスが問われる企画でもあるということだ。
喬太郎は上野鈴本演芸場で毎年なんらかの企画興行を行なっている。去年はウルトラマン落語、今年は三題噺。来年は何をやってくれるのか、楽しみだ。
●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『僕らの落語』など著書多数。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号