一方、主人公がこん睡状態のまま目覚めずバッドエンディングを迎えるなど、シリアスな展開の連続で朝ドラ的展開をあえて崩した『純と愛』の満足度が先の過去9作品中最下位(期間平均3.39)だったように、視聴者は安心感を与えるベタな展開を望む傾向もある。
第9話で、悪い男に絡まれ窮地に立たされたヒロインの前に見合い相手の紳士(高橋一生)が颯爽と現れ救うというまさにベタなシーンには、「助けてくれたのがお見合い相手なんて話ができすぎているとは思うけど、楽しみ」(60歳女性)、「縁談相手に偶然助けられるところも、ナレーションでうまくかわされ、納得」(58歳男性)など、この回で登場した高橋一生のおかげもあるが、『ひよっこ』に続き視聴者の声を代弁するようなナレーションの効果もあり、シーンによってはベタを好意的に受け止める視聴者も増えてきた。
常にベタでは新鮮味がなくなってしまうが、それがハマれば様式美にもなる。そのさじ加減が最も難しいのだが、今後それをどう調整していくか、制作者たちの腕の見せ所だ。
【大石 庸平・おおいしようへい】
「テレビウォッチャー」主任研究員。データニュース社が行っているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー 」(http://tv-watcher.jp/)の“満足度”をもとに日々テレビ番組を研究している。放送局への番組レポート提供の他、データを使った番組評記事もウェブにて展開中。仕事に関係なくテレビが大好きで、特にドラマに詳しいドラマニア。内容はもちろん脚本・監督らのスタッフ情報、そして視聴率データにも精通している。
◆「テレビウォッチャー」満足度調査とは?
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1200+女性1200=計2400 ※回収数は毎日変動する
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」 各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準