息子からの焦りのメールを受け取ったラミン氏は、「後で話をしよう」と短く返信した──。

「このメールはディアク親子が、東京招致に向けた票の取りまとめを行なったことを示す証拠だと『ル・モンド』は報じ、世界中でビッグニュースとして扱われました」(前出・山田氏)

 ただし、日本では全国紙のうち朝日と読売が触れたものの、欧米に比べると扱いは小さく、いずれも〈仏紙ルモンドが20日伝えた〉(朝日・21日朝刊)、〈仏紙ル・モンドが報じた〉(読売・22日)という引用形式だった。ジャーナリストの伊藤博敏氏が言う。

「五輪招致には、広告代理店の『電通』がかかわっていることもあり、各メディアは扱いにくい。各紙が独自取材をしないのは、そうした事情も絡んでいるのでしょう」

◆五輪「剥奪」の可能性

 フランスの検察当局の捜査は日本にも及んでいた。今年2月、東京地検特捜部がJOC(日本オリンピック委員会)の竹田恆和会長を任意で事情聴取した。竹田会長は不正を否定したが、他にも複数の関係者が聴取を受けたという。

「フランス側の求めに応じて嘱託尋問の形で行ない、聴取内容はフランス当局に報告済み。聴取した全員が違法性を否定した」(東京地検関係者)

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