芸能

落語界、新作から古典の名作まで元気な二ツ目たち

「二ツ目」たちにより落語界は元気

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の連載「落語の目利き」より、師匠の家や楽屋での世話をしていた前座から昇進し、紋付きを着て真打ちを目指す「二ツ目」たちにより落語界が元気な様子についてお届けする。

 * * *
 この連載の第1回で昨今の「二ツ目ブーム」的な状況について書いたが、それを象徴するような企画が僕のところに持ち込まれた。横浜市の関内ホールが「小ホールで二ツ目の落語会を始めたいのでプロデュースしてほしい」というのだ。

 この会場、大ホール(客席数1102)では従来から柳家小三治、立川志の輔といった人気者を招いて「関内寄席」を催している。小ホールは264席だが、これとて落語会のサイズとしては充分大きい。このキャパで二ツ目の会など、10年前には考えられなかった。

 題して「広瀬和生太鼓判 関内寄席ねくすと」。僕が出演者を選び演目も決めるというスタイルで、9月16日にその第1回を開催した。出演は柳亭小痴楽、春風亭ぴっかり☆、立川吉笑、三遊亭わん丈。

 開口一番はわん丈。二ツ目になってまだ1年だが、前座の頃から安定感のある高座運びに定評があり、ハキハキした口調とよく通る声が魅力。新作も得意で『国隠し』などは鉄板ネタだが、今回は『寄合酒』をリクエスト。寄席でもおなじみの滑稽噺だが、彼の『寄合酒』は三遊亭萬橘に教わったユニークな型で、随所にヒネリが効いていて新鮮に笑える。

 二番手は吉笑。新作落語オンリーの演者で、緻密な論理展開と言葉遊びを合体させた独特な作風は唯一無二。この日演じた『カレンダー』は、間違った暦や時計に依存して暮らしてきた集団が世間とのズレに徐々に気づいていく過程がなんともスリリング。まさに「論理で笑わせる」吉笑の面目躍如たる傑作だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン