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泡沫候補 親の遺産相続で出馬環境が整うケース多い

──端から見たら、選挙対策スタッフを志願しているように見えますね。

畠山:こちらがスタッフかなと思って声をかけると「はい、お手伝いしています」というんです。記者としては候補者のスケジュールを知りたいので街頭演説や第一声の予定をきくと「うーん、やらないんじゃないかなあ」と言う。あれ? なんか様子がおかしいなと思うと、選挙が始まったとたん、その人は姿を見せなくなるんです。ポスター印刷とポスター貼り、新聞広告を掲載するなどし終わったら、もう彼らの仕事は終わりなので。

──選挙ポスターがどれも似たような感じになるのは、広告代理店の影響なのでしょうか?

畠山:広告代理店は、以前、自分の会社で作成した候補者ポスターを原案にしてサンプルを作成し、提案します。だからレイアウトがそっくりになるのは無理もないです。地元の選挙報告会で、代理店にどんな提案を受けて、どういうデザインにしたのかすべてつまびらかにした独立系候補の人がいて、その仕組みがわかりました。

──選挙がビジネスチャンスになっている人が、大勢いるんですね。

畠山:だから、選挙になるとみんな盛り上がるんです。あんなに楽しいことはない。一度でも選挙の魅力にとりつかれた人は、一生、逃れられないと思いますね。

──たとえ当選しなくても立候補し続けるのは、その魅力ゆえですか?

畠山:もちろん当選したいのですが、立候補する人というのは「公(おおやけ)」の心が強い。だから、歩みは遅いかもしれないけれど、誰かに、社会になにがしかのよい影響を与えることができたと感じられて、選挙に出てよかったと思っているのではないでしょうか。踊る演説やユニークな政見放送で知られるマック赤坂さんも、以前は街頭で空き缶を投げられたり、酒をかけられたりしていました。でも最近では写真をせがまれたり、「あなたに救われた」「死ぬのが馬鹿馬鹿しくなって、もうちょっと生きようと思います」などと話しかけられたりしています。

──多くの人と関わることは立候補者にとって大切なことなんですね。

畠山:大政党に所属して立候補する人の中にたまにいるのですが、選挙活動中の街頭演説のときですら、人々と関わろうとしない人もいます。自分がどういう政策を考えているのか伝えることを放棄しているように見える。独立候補のほうが、積極的に有権者と関わろうとし訴えています。当選したら一部の人の代弁者ではなくて「全体の奉仕者」になるのですから、立候補する人は厳しい声も聞かないとダメだと思いますよ。

●はたけやま・みちよし/1973年、愛知県生まれ。早稲田大学第一文学部在学中の1993年より雑誌を中心に取材・執筆活動を開始。関心テーマは政治家と選挙。ニコ生ではイチローに間違えられたことも。著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)。取材・構成として『日本インディーズ候補列伝』(大川豊著、扶桑社)、『10分後にうんこが出ます』(中西敦士著、新潮社)、『新しい日米外交を切り拓く』(猿田佐世著、集英社)なども担当。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)が発売中。

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