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泡沫候補 親の遺産相続で出馬環境が整うケース多い

独立系候補の写真が並ぶ『黙殺』カバー


──スタッフが多ければ分担できますが、少ないと負担が大きそうですね。

畠山:組織で選挙をバックアップしてもらえる人の場合はスタッフが代わりに記入して提出してくれますが、独立候補は一人きりでやっている人ばかりです。しかも、独立候補には真面目な人が多いので、提出義務がなくても、ちゃんと書いて返さないと、と丁寧に答えます。これらの調査に個別に答えるのに手一杯で、選挙運動になかなかたどり着けない候補者も少なからずいます。もっと言えば、提出しても記事に反映されないこともあります。これにはガクッときてしまう候補者の方も多いです。

──選挙の告示日(※衆院選の場合は公示日)といえば、多くの人が集まる場所で「第一声」と言われる街頭演説をする様子が必ずニュースで流れます。その日、候補者はどんなスケジュールで動くのが通例なのでしょうか?

畠山:候補者は選挙管理委員会へ書類を提出し、選挙事務所の表札、自動車表示板、拡声機表示板、腕章、街頭演説用ののぼりと腕章、個人演説会用立て札の「七つ道具」を受け取ります。大きな紙袋にどっさり一式です。スタッフが大勢いれば、代理の人がこれらをすべて済ませ、候補者は第一声を行う場所で「七つ道具」が届くのを待って街頭演説を始めます。独立候補はたいてい、自分ですべてこれらを行うので、第一声をすぐには始められないですね。

──先日の総選挙で初めて知ったのですが、選挙事務所は設置しなくてもよいものなんですね。希望の党は党本部の電話番号が公表されていなかったと聞いて驚きました。

畠山:事務所設置は義務ではないです。僕は候補者すべてを取材する方針なので、希望の党の予定を知りたいと思って党本部に連絡を取ろうとしたんです。ところが党本部の連絡先電話番号が公表されていない。希望の党公認で立候補していた人の選挙事務所に聞いたら「公表していないので教えられない」と言われて驚きました。では、党との連絡はどうしているのかといえば、若狭勝事務所に連絡を取っている。でも、「うちもなかなかつながらなくて」と困っていました。そんな状態で戦っていたら、選挙戦に勝つのは難しいですよね。

──連絡先を教えない候補者は増えているんですか?

畠山:一定数は存在します。だから立候補届出日に選挙管理委員会で接触しなければ、最後まで会うことができない候補者もいます。また、昔は選挙管理委員会によっては、フリー記者には連絡先を教えないと決めているところもありました。というのも、記者だと名乗って住所を聞き出し、営業活動をする広告代理店の人がいてトラブルになったことがあったらしいんです。

──広告代理店の仕事というのは幅広いんですね。

畠山:たとえば、選挙が近くなると、選挙管理委員会の前には広告代理店の人が何人か待ち構えていますね。誰かが来るたび「お手伝いしますよ」と荷物をパッと持ってくれる人がいるんです。そして「立候補をお考えですか?」と聞いてくる。独立候補の人はたいてい一人きりで活動しているので、荷物を持ってくれる親切な人だなと感激します。そこに「ポスター、どうされますか?」と営業をかけるんです。

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