「睡眠中に1回でも起きて排尿すれば『夜間頻尿』に該当します。ただし、加齢とともに抗利尿ホルモンの分泌は減少するといわれているので、1回なら仕方のない範囲と考えてよいでしょう。ただし2回以上になると注意が必要です」(前出・近藤医師)
夜間頻尿との関係性が指摘されるのは、心筋梗塞や心不全など、心機能が低下する病気だ。
「心臓は血液を全身に循環させるポンプの働きをしており、正常であれば起立した状態で全身に血液を送る力があります。しかし、心機能が低下すると、起きている間は血液がうまく循環しないのに、横臥状態になると血流が回復して腎臓で作られる尿が増える。その結果、夜間にトイレに行くことが増えるのです。重症な心不全になると、起きている間に尿がほとんど出なくなります。起床時に尿量が減ったときも注意が必要です」(順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科の磯谷周治医師)
また、脳卒中により脳と膀胱を結ぶ神経に障害が起きると、勝手に尿を出してしまう「過活動膀胱」の症状が出て、夜間頻尿が起こる。
日本女子衛生短期大学の関博人教授が行なった研究によれば、脳卒中を起こした患者85人のうち30.6%(26人)に、発症の3か月前から夜間頻尿が認められていた。尿は多すぎても少なすぎても、異変の兆候なのだ。
※週刊ポスト2017年12月15日号