ビジネス

税理士は相続税に詳しくないことも 丸投げすると痛い目をみる

税理士が相続税に精通していないケースも

 法改正により今や富裕層だけではなく、一般家庭にも降りかかる相続税。税務署から通達された通りに払うしかないと思ってはいけない。なぜなら、相続税を支払った人の多くは“過払い”の可能性があるからだ。

 相続財産に占める「土地」の割合は約4割で、最も大きいウエイトを占めるが、土地以外では、有価証券の相続において過払いがよく見られるという。相続税専門の税理士法人チェスター代表・福留正明氏はこう解説する。

「有価証券の評価額は、故人の死亡した日(相続開始日)の時価だけではありません。上場株式の場合、相続発生前3か月間の月平均の最も低い額からも選択することができます。たまたま亡くなった日に高騰した場合、それが適切な評価額だとは言えないためです。

 投資信託の場合は、その日に解約した場合に源泉徴収される所得税額や、信託財産留保額、解約手数料を差し引いたものが評価額となります。これらは相続税特有の計算方法なので、税理士でも忘れがちです。単純な時価で計算されないようチェックすべきです」

 NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、投資商品が増える中で評価額の計算法を間違い、過払いしてしまう人が今後増加することも予想される。さらには死亡時に受け取る保険金にも見落としやすい注意点がある。

「死亡保険金には法定相続人1人あたり500万円の控除が適用されますが、この仕組みは分かりやすいため間違えることは少ない。注意すべきは医療保険です。『入院給付金』などが組み込まれているものがほとんどですが、それらは被相続人以外が受取人だった場合、非課税になります。さらに所得税もかかりません。同じ保険会社から死亡保険金と入院給付金を合わせた額を受け取ると、入院給付金も合わせて計上してしまうというケースはよくあります」(同前)

 税理士のことを“相続税のプロ”だと思って丸投げしてしまうと痛い目をみる。相続人自身が知識を持っておくに越したことはない。

※週刊ポスト2017年12月22日号

関連記事

トピックス

”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン