それで、Hさんの怒りに火がつき「やめられない、とまらない!」と訴訟まで起こす事態になったのかもしれない。前出・大広関係者が語る。
「最大手の電通や博報堂に比べて、世に語り継がれるほどの大きな仕事は大広には多くはありません。だからこそ、Hさんにとっても、同世代の大広のOBにとっても、このコピーは本当に大事なものだったはずです。実際、大広の交友会には毎回大勢のOBが駆けつけて、過去に手掛けた広告の思い出話を嬉しそうに語っていますから、お金目的ではなく、大切な思い出や名誉をかけて訴訟を起こしたのだと思います。高額の賠償金は、世間からの注目を浴びるための仕掛けでしょう。彼も元広告マンですからね」
Hさんとカルビー社長との面会後に、このコピーの著作権が別の会社に登録されていることが判明したようだが、カルビーとしては面談の前に確認しておくべきだったろうし、百歩譲って後からNGだということがわかったのであっても、その旨を丁寧にHさんに説明すべきであったかもしれない。
「何よりも、自ら会社にアプローチしてくるほど情熱がある人との間で“自然消滅”を狙ったのは、スナック菓子が主流のカルビーにしては、甘すぎたんじゃないですか……」(同前)。