国内

主婦もハマる「ソフト闇金」 狡猾な業者の狙いとは

ソフト闇金業者の狙いとは

 フリマアプリで現金が出品されていた問題が浮上したとき、現金を「購入」する人がいることに驚かされた。だが現実は、お金が足りずに困る人たちが水面下で増え続けている。お金がない悩みは、人に言いづらい。それにつけ込んで、優しい顔で借金地獄に誘い込もうとするソフト闇金にハマる人たちと、業者側の狙いについて、ライターの森鷹久氏がリポートする。

* * *
──弊社は高圧的な取り立て、催促のない”ソフト闇金”です……。

「闇金」と言えば、法外な利息で金を貸し付ける無届け無登録の金融業者であることは広く知られており、取り立ても執拗かつ悪質で、時には人間一人の人生が崩壊するまで追い込むこともある。また、闇金のほとんどには暴力団などの反社会勢力が関与しているとされる。

 一方、ネットで検索すると無数に出てくる”ソフト闇金”を自称する業者のホームページを覗いてみると、とても反社会勢力が関与しているとは思えない、冒頭のようなソフトな文言が並んでいる。フリー素材サイトから引っ張ってきたと思われる笑顔の女性の写真が多用され、確かに「ソフト」な印象さえある。

 さらに、一般的な闇金よりも安い金利で貸し付ける、とするところがほとんどというのも、ソフト闇金の特徴だ。しかしながら、怖い”闇金”に”ソフト”が付け加えられても、怪しさは変わらず、一般人にはピンとこないし、はっきり言って何が起きているのか、見当もつかない。実際に「ソフト闇金」を利用しているという花村さん(仮名・47歳)は、その存在を”ありがたい”と話す。

「私は”ブラック”で、クレカはおろか携帯電話すらまともには契約できない状態。月末など物入りの時にはよく利用する。精神的な苦痛がなく、とてもありがたいのです」

 花村さんは趣味のギャンブルなどで作った借金千数百万円を踏み倒し、クレカの契約やローンなどの組めない”ブラック”状態にある。そんな花村さんが金を借りられるのは、闇金など無届けの違法業者だけ。以前はよく「闇金」を利用していたが、現在は月一のペースで「ソフト闇金」を利用する。ネットに疎く、携帯はガラケーを使用する花村さんがソフト闇金の存在を知ったのは、業者からの営業電話だった。

「闇金よりも金利がよく(安く)、催促をしない、というんです。本当かよと思いましたが、当時世話になっていた闇金の借金20万円分を借り換えたところ、支払額も減って、わずかばかり返済が遅れても、怖い取り立てがない。返済の相談にまで乗ってくれる」

 こう話す花村さんだが、かつて闇金業者に勤めた経験のある男性によれば、花村さんは知らない間に「カタ」にはまっていると指摘する。

「貧乏人のケツをいくら叩いたって出ない物は出ない。ならば、低額を貸しつけて、ゆっくりやんわり切り取ってゆく。実際に高圧的な闇金業者は、客が敬遠するし、回収できないパターンも増え、何より摘発のリスクが高すぎる。それならってことで登場したのがソフト闇金。花村さんの20万円の借金は、元々3万円を借り入れたものが膨らんだ形だというから、法外な利息だし、完全に違法行為。たとえ全額返済されても、こういう客はいずれパンクする見込みがあるから、同業者間で顧客情報を共有し、たらいまわしにして、ゆっくり搾り取れば良いのです」

 ソフト闇金が蔓延する背景には、大手メガバンクなどが旗振りした結果、カードローン破産に追い込まれるような、経済的に追い詰められた一般消費者の増加がある。いくら政府やマスコミが好景気だと煽っても、その恩恵は一部が享受しているだけ。いわゆる「中流」と呼ばれる層が消え、高所得者と低所得者の二極化が進む中、ソフト闇金のニーズは、より高まりつつある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン