60歳にして絵に転じ、62歳で昭和美術会で入選。100歳を超えてからは毎年特別賞を受賞している。昨年5月には弟子で粘土工芸作家の登羽華貴さんと「二人展」を開いた。
「先生と出会ったのは、先生が80歳の時。でも若くて70歳ぐらいにしか見えなかった」と登羽さんが言うと、藤田さんは「できるだけ歳は忘れているからね」と高らかに笑い飛ばす。今も2人は共にアトリエで創作に励む。
「朝は6時に起きて、9時半頃にはアトリエに来るかな。描く時は夢中になってメシも食わないで描く。その代わり、2~3日何もしないこともあるね。描かへん時は、弟子には悪いけど、アイデアを考えながらあっち向いてホイで寝とります(笑い)。夕方4時半頃に帰って、夜8時には床に入る。今はタバコもやらんし、酒は昔から飲めへん」
目がかすんだり、手が震えたりすることもあるが、今でもその時その時に描きたいタッチで作品を描いている。タッチを変えて描くことも楽しみのひとつだと言う。「何でも描ける」ことが藤田さんの強みだ。
「最近は漫画のタッチが多くなってきています。元は漫画家さんですからね。先生の集大成なんじゃないでしょうか」(登羽さん)
という弟子の言葉も、藤田さんは笑って受け流す。
「ははは、集大成ねぇ。引退しようと思ったこと? ないな。筆持ちながら死にますわ」
※週刊ポスト2018年1月26日号