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2018.01.19 07:00  週刊ポスト

壇蜜が熊谷守一の世界に触れ、猫の観察力に驚嘆する

その立体感に圧倒される壇蜜


壇蜜:学生時代の『自画像』は重厚な油絵ですね。『陽の死んだ日』(1928年 大原美術館蔵)は、絵の具が力強く塗り重ねられて盛り上がっている。浮き上がるような立体感に圧倒されます。

山下:5人の子宝に恵まれた守一ですが、3人を亡くしている。この作品は次男が数え年4歳で急逝した日のもの。息子に何も残してやれなかった無念から死に顔を描いたけれど、そんな自分に嫌気がさして30分で筆を置いたそうです。元来激しい気質があったことが作品から感じられる。終戦後に長女を21歳で亡くし、『ヤキバノカエリ』が描かれました。

壇蜜:どちらもお子さんを亡くされた悲しみに溢れていますが、年齢を重ねるごとにタッチが穏やかになっている。背景の出来事を知ると不気味さを感じます。

山下:彼は実はものすごく絵がうまい。卓越した技術と表現の幅をそぎ落として、そぎ落として、最終的に行き着いたのが『猫』なんです。70代で体調を崩すと猫をはじめ、『雨滴』『蟻』など生活の風景を中心に作品を残しています。

壇蜜:捨てて、捨てて、辿り着いたのが『猫』なんですね。『雨滴』など“人生は引き算ですよ”と絵が訴えてくる。その境地の陰には壮絶な経験があって……。1回の人生でこの引き算は今の私には想像がつかないし、自分が辿りつける自信もまだありません。

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