展覧会では熊谷守一の資料も展示されている


山下:熊谷守一が中年以上の大人の共感を呼ぶのは、そこにひとつ理由があると思います。『陽の死んだ日』であれほど激しい絵を描いていた人が晩年の引き算で、「無為自然」の境地を開拓した。しかも並大抵では辿りつけない深みまでに。ものすごく強い意思を持って無為自然に生きようとした、その姿が作品から伝わるのです。

壇蜜:作品を連続して観ることで、成り行きで無為自然へ到達したわけではないと理解できる。「わからないとはいわせないよ」といいたくなる構成になっていますね。

●山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻・小学館刊)の監修を務める。笑いを交えた親しみやすい語り口と鋭い視点で日本美術を応援する。

●壇蜜(だん・みつ)1980年生まれ。タレント。2010年芸能界デビュー。グラビア、執筆、芝居、バラエティなど、幅広い分野で活躍。近著に『男と女の理不尽な愉しみ』(林真理子と共著・集英社)、『噂は噂 壇蜜日記4』(文春文庫)。1月26日スタートのドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)に出演。

【没後40年 熊谷守一  生きるよろこび】
会期/3月21日まで
会場/東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開館時間/10時~17時(金・土曜日は20時まで、入館は閉館30分前まで)
休館日/月曜日(ただし2月12日は開館)、2月13日(火)
入館料/一般1400円、大学・専門学校生900円、高校生400円

※週刊ポスト2018年1月26日号

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