「貴乃花親方は自身の部屋付き親方であり、『音羽山』を襲名していた元前頭・光法を廃業させ、『小野川』を返上した元大道に『音羽山』を継がせるかたちを取った。ただ、元前頭・光法は2010年の理事選でそれまで所属していた一門を割って貴乃花親方を支持した“恩人”であるだけに、それをいきなり廃業させるという結論では、グループ内に禍根が残るのではないか。
また『小野川』を襲名した山響部屋の元北太樹が、貴乃花親方に近い山響親方に『1票』を投じることになるのか、同じ出羽海一門のなかでも八角理事長寄りの候補者の票になるのかも見えてこない。この“返上騒動”も、理事選の行方に大きな影響を与えることになる」(同前)
一門をまたいだ年寄株の奪い合いで、理事選は大乱戦の様相を呈している。表向き一門に所属する親方の数と“本当の持ち票”が一致しないだけに、票読みは混迷を極めている。
「借株が所有者の意向通りに本当に投票するのか、空き株がいくつ埋まるかによるが、貴乃花派の理事は最大でも3人にとどまるはず」(前出の担当記者)という見方がある一方で、波乱の可能性を指摘する関係者もいる。
「貴乃花一門は6つある一門のうちの一つに過ぎないが、時津風、出羽海、二所ノ関の各一門を中心に、貴乃花シンパは存在する。たとえば二所ノ関一門では貴乃花親方と距離を置く芝田山親方(元横綱・大乃国)が理事になるのか、貴乃花シンパ票が別の候補に流れるのかで情勢は変わる。
伊勢ヶ濱一門では、日馬富士の師匠として責任を取って理事を辞任した伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が理事返り咲きを目指しているともいわれるが、一門内の意見は一本化できていない。前回落選した高島親方(元関脇・高望山)を推す声が多い一方、調整に手間取って最終的に貴乃花親方と近いとされる浅香山親方(元大関・魁皇)が候補となる可能性もある」(前出の若手親方)