◆義理チョコよりも大事なものがある
そのことを病床のサブリーンに報告すると、とても喜んでくれた。これが今年13年目になるチョコ募金のはじまりである。
初めはバレンタインデーに義理チョコをあげるんだったら、イラクの子どもたちのために協力してください、と呼びかけた。回を重ねるうちに、義理チョコだけでなく、結婚披露宴で配ったり、退院の内祝いに使ったり、といろいろな用途でチョコレートを使ってくれる人が増えた。
もちろん、六花亭製のチョコレートがおいしいからと、毎年、買ってくれるリピーターも多い。募金してくれたチョコレートの数は、累計10万個以上。おかげでぼくたちは3億円以上の医薬品を、イラクの小児がんの病院に届けることができた。
過激派組織ISが台頭してからは、難民キャンプにも薬を供給。難民となった医師や看護師たちが難民を助けるシステムもつくってきた。昨年1月には、イラク北部のアルビルに、日本の外務省の支援を受けて、JIM-NETハウスを開設。シリア難民やイラク国内避難民となった人たち、地方から来た人たちは子どもが入院治療している間、寝泊まりする場所がない。そこで、家族のために無料で宿泊できる場所を設けたのだ。
ここでは一時退院した子どもも一緒に寝泊まりできる。小児がん包括支援施設である。今後は、こうした施設を増やしたい。そのための資金は、チョコ募金のご厚意を充てさせてもらおうと思っている。