◆有珠山、蔵王山、日光白根山……
具体的にはどの火山の噴火リスクを警戒すべきなのか。高橋氏がまず挙げたのは有珠山だ。
「カムチャツカの火山群が北から順に噴火していることから有珠山をはじめ、十勝岳や雌阿寒岳など北海道の火山は注意が必要です。過去、大噴火は記録されていませんが、これは松前藩の統治以前の記録がはっきりしていないという理由からだと考えられています」
北米プレート上に位置する東北地方も警戒が必要だと高橋氏は指摘する。噴火した際のリスクが大きいと考えられるのは十和田山、蔵王山だという。
「かつての爆発で火口に水が溜まっています(カルデラ湖)。地震などの際に、マグマと水が接触することがあれば巨大な水蒸気爆発が起き、山体崩壊も起こりうる。また、栃木・群馬県境の日光白根山については、近年、微細な揺れが月300回というハイペースで続いています。昨秋から気象庁が常時監視体制を始めました」(同前)
他にも噴火によって被害が大きくなることが懸念される火山は数多くある。にもかかわらず、「リスクが正しく認識されていない」と高橋氏は懸念を深める。
「2015年の箱根・大涌谷の噴火は活動が比較的穏やかなフィリピン海プレート上だったため小規模でしたが、有名な観光地だったことから、メディアが大騒ぎしました。北米プレート上にある草津白根山は、さらに大きな噴火活動の予兆である可能性が高いのですが、警鐘を鳴らす報道は見受けられません」
噴火のリスクに晒されているのは、東日本だけではない。鹿児島・桜島の動きも、活発化の兆しがあると高橋氏は続ける。