国内

元内閣官房参与の科学者が初めて明かす「人智を超える何か」

「時に科学を超えたことが起きる」と田坂氏は話す

 原子力工学の専門家で元内閣官房参与、シンクタンク代表、社会論や経営論、人生論でのベストセラーも多い田坂広志氏(66才)。新刊『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟』(小学館)の中で、これまでの80冊を超える著作ではあえて触れてこなかったという数々の「不思議な体験」を明かしている。なぜ、科学者である彼が今、「そのこと」を語ろうと決めたのか聞いた。

 * * *
 科学の道を歩んできた私にとって、また、多くの読者に支えて頂いてきた私にとって、このようなことを明かすのは、もちろん覚悟が求められます。ただ、私の人生の核になる部分を伏せて思想を語っていくには限界がある、と感じていました。

 また、我々の人生においては、深い覚悟を定めると、想像を超える不思議なことが起こるのですが、その真実を伝えることは、逆境の中にいらっしゃる多くの方々の助けになると思い、それは私の使命でもあると考え、本書を上梓しました。

 私は、本来、科学的立場から物事を判断し、論理的にものを考える人間でしたが、34年前、その私に、突然、命の期限が告げられました。まだ30代の働き盛りであり、将来への希望に満ちていた私には、医師から「手の施しようのない」病状を説明されても、悪夢としか思えませんでした。

 世界が崩れ落ちていくような絶望の中、救いを求めてたどりついた禅寺で、ひとりの禅師に出会いました。そして、その禅師の語った一言が、私の人生観と生き方を根本から変えたのです。

 それ以来、不思議なことに、偶然とは思えない出来事が度々起こるようになりました。そして、自分の中に眠っていた才能や可能性が開花しはじめ、運気をも引き寄せるようになったのです。さらに、気がつけば、その病も消えていきました。

 これは、科学では説明することができません。ただ、私がたしかに感じるのは、「科学では説明のつかない何か」が存在する、という事実です。そして、その深いまなざしで見つめるならば、あの病という「逆境」は、実は、私自身の「成長の機会」として与えられたと感じるのです。

 それが「何から」与えられたのかは、誰にもわかりません。ただ、人生において、いかなる逆境が与えられても、「この逆境は、自分を成長させ、自分を通じて善きことを為すために、大いなる何かが与えたものだ」と思い定めると、不思議なことに、想像を超える出来事が起こり始めるのです。

 本書では、実際に私が体験した、未来を予知したかのようなできごとや、シンクロニシティとでも呼ぶべき不思議な偶然、大切な場面で心の奥深くから聞こえてくる声など、さまざまなエピソードを紹介していますが、そうしたエピソードを通じて、私が読者の方々にお伝えしたいのは、人生におけるどのような逆境も、大いなる何かが我々を成長させようとして与えたものであり、そのことを信じ、覚悟を定めるならば、必ず、我々の心の奥深くから不思議な力と叡智が湧き上がってくるという真実です。

 逆境を「与えられた機会」として受け止め、静かに正対するとき、私たちはすでに、その逆境を越えているのです。

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン