「なかなかいい人が見つからず、娘は『もうあきらめる』と言うけど、何とか相手を見つけてあげるのも親の責任かと思うんです。娘はこれから長い間生きるのだから、ひとりだと絶対寂しいですよね。孫の顔はムリかもしれないけど、娘にはとにかく結婚してほしい」
響子はようやくお目当ての男性(の親)を見つけ、勇気を出して「あの、うちの娘はどうでしょう」と聞いてみた。しかし返ってきたのは、「お仕事はマスコミ関係ですか…、すみません、派手な感じがするのでちょっと…」という断りの言葉だった。
これは決して珍しい光景ではない。婚活ブームの生みの親で共著に『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(毎日新聞出版)を持つジャーナリストの白河桃子さんが語る。
「親の婚活でのジャッジは厳しく、わが子がメチャクチャかわいい分、相手の条件を非情なまでに弾劾します。平気で『うちの子とお宅さんの職業ではちょっと…』と言うから、相手の親はものすごく傷つく。残酷な闘いで胸が痛くなることが多い」
娘の仕事を否定された響子は気を取り直して、新しい相手を見つけた。44才の息子を持つ親で、娘とは年齢的にもちょうどいい。
響子が再び「あの、うちの娘はどうでしょう」と声をかけると、最初はにこやかだった相手の表情が身上書を見た途端にこわばった。
「36才ですか…、失礼ですがお断りさせてください」
まさかの返事に響子はその場に立ち尽くした。36才の娘はまだまだイケると思っていたのに、立ちはだかる現実に目の前は真っ暗に。「良縁親の会」の理事で心理カウンセラーの宮越のり子さんが指摘する。
「息子を持つ親には“どうしても孫の顔が見たい”という人が多く、“丈夫な子供を産んでほしいから”と少しでも若い女性を選ぼうとします。自分の息子が50才近いのに、“嫁は35才まで”と決めているかたも結構います。娘を持つ親も同様で、たとえ娘が“年が離れていても頼りがいがあっていい”としても、親が勝手に“年齢差は7才まで”と決めることもあります」
代理婚活はかくもシビアな世界なのだ。
※女性セブン2018年2月22日号