その1の日の丸飛行隊の話題は、ジャンプの団体で日本チームが好成績をあげたり、個人戦で日本人選手が上位を独占したりしたときに、「日の丸飛行隊を思い出すねえ」といった感じで繰り出しましょう。若者に「日の丸飛行隊って知ってるか?」と話を振って、あのときの興奮を語り継ぐのも一興です。30代ぐらいには長野オリンピックの原田、船木、岡部、斉藤に言及して「彼らもすごかったね」とホメれば、話が盛り上がるはず。
その2は、フィギュアが佳境に入ったタイミングを見計らって、おっさん相手に「そういえば昔、ジャネット・リンっていたよねー」と繰り出しましょう。あのかわいい姿を思い出しながら、しばし幸せな気分にひたれるに違いありません。平昌大会に出場している中で似ていると言えなくもない選手を見つけて、おっさん同士「あの選手、ジャネット・リンみたいだね」と言い合って、心の絆のようなものを感じるのも一興です。
平昌大会で日本人女子選手が金メダルを獲得したら、その3の出番。すかさず「里谷多英と荒川静香に続いて女子で3人目だね」と言えば、おっさん同士なら同じ時代を生きてきた喜びを感じ合えることができるし、若者には「なんて物知りなんだ!」と見直してもらえるでしょう。そのためにも、日本人の女子選手の健闘を祈りたいものです。
縁起でもない話で恐縮ですが、期待されたメダル候補の選手たちの多くが残念な結果に終わったときには、その4の知識を引っ張り出してくるチャンス。「インスブルックやカルガリーのことを思えば、よく頑張ってるよ」と言って、その時期はいかにメダルが少なかったかを話せば、大人の寛容さや懐の深さを見せつけることができます。
その5は、8回目のオリンピック出場を果たした葛西紀明の話題になったときに、さりげなく「橋本聖子も7回出てるよね」とはさみ込みたいところ。おっさん同士なら、懐かしさを感じつつ「そういえば自転車でも出てたよね!」と盛り上がれるし、若者には「そういう人だったんですか! すごっ!」と驚きを感じさせることができます。ちなみにアトランタに出たときはすでに国会議員で、けっこうバッシングを受けました。
戦っているのは出場選手だけではありません。これらの小ネタをいかに繰り出すか緊張感を持って過ごし、ここぞというタイミングで勇気を振り絞る──それがおっさんとしての戦いです。心の金メダルを目指して、全力を尽くしてください。その努力を誰も認めてくれなくても、その行為を誰も喜んでくれなくても、己の満足感のためにともにがんばりましょう。