関東なら茨城や栃木、長野、山梨、関西なら大阪や兵庫、京都の郊外を選ぶ人も多い。
2つ目は、住居費の問題だ。2か所に住むためには2軒分の住宅費がかかる。そこで最近は、コストを抑えるためにどちらか一方をシェアハウス住まいにする人もいるという。また、二拠点となれば、人間関係への気配りも必要となる。
「郷に入れば郷に従えで、田舎で都会風を吹かせるのはNG。その土地の風習ややり方に合わせることも必要です。田舎暮らしでご近所と仲よくなれば、困った時に助けてもらえるという利点もありますよ」(高橋さん)
最近では交流会などを開く自治体も多く、移住者と地元の人をつなぐ団体もできている。
◆二拠点生活で、親子の程よい距離感が保てる
高齢の親の世話を無理なく行うために、新たな選択肢として二拠点生活を選ぶ人も増えている。行き来しながらのお世話は、一見、大変そうに思える。が、遠距離介護を支援する『パオッコ』理事長の太田差惠子さんは、「精神的な負担はかえって少ない」と言う。
「長く離れて暮らしてきた親子が、いきなり同居すれば衝突も増え、お互い疲弊してしまいます。その点、たまに会ってケアをすれば、親も感謝してくれ、良好な関係を築きやすい。その後、いざ介護となったら、交通費も含めて親の介護資金でやりくりすれば、子供の負担を軽減できます。子供の場合、介護のために自分の収入や貯金で交通費を捻出していると、“なぜ、私が…”と不満が募ってしまいます」(太田さん)
二拠点生活は、働き方も、住み方も多様化し、選べる時代の新たな選択肢の1つだ。
※女性セブン2018年3月1日号