「サメの頭部にはロレンチーニ器官という小さな穴がたくさんあり、電気センサーの役割を果たしています。サメの電気の感度は人間の10万倍以上ともいわれていて、地震前の地殻変動で生じる、海底下に流れる電流なども敏感に察知することができる。サメが普段は見られないような場所に現れたのは、地殻になんらかの変動を感知したからだとも考えられるのです」(島村さん)
希少なサメの不可解な発見は続いている。昨年5月末、南海トラフに近い三重県尾鷲市の沖合では、メガマウスという巨大なサメが捕獲された。
「メガマウスは体長5mもあり、頭部と口が異様に大きいのが特徴。世界で120匹、日本でも20匹ほどしか発見例がなく“幻のサメ”と呼ばれています。メガマウスは東日本大震災の約2か月前に捕獲されていたことも知られています」(全国紙科学部記者)
さらに、ほとんどの人は意識していなかっただろうが、地震の“前兆”を、実は多くの視聴者が目撃していた。1月28日に放送されたバラエティー番組『東京湾大調査!お魚ぜんぶ獲ってみた2』(テレビ東京)のロケで、これまで東京湾では見られなかったヘラザメが初めて捕獲されたシーンだ。
ヘラザメは水深800~1400mの深海に生息するサメで、日大の研究チームが東京湾で2005年から3年間にわたって行った57回の調査でも、一度も確認されていなかったという。
海洋生物の専門家は「海流や温暖化の影響も考えられる」としているが、前出・島村さんはこう指摘する。
「地殻変動による微弱な電流を感じて上がってきたのか、あるいは餌がなくなったからなのか。東京湾の深いところで何が起きたのかはわからない。しかし今後の地震の前兆である可能性は否定できません」