ビジネス

主婦層の心掴むアイリスオーヤマ家電 ヒットの法則5選

主婦に愛されるアイリスオーヤマ家電

 かつて世界を席巻した日本の家電ブランド。だが、今やグローバル競争に敗れて衰退の一途を辿っている。そんな中、ひとり気を吐くのが『アイリスオーヤマ』だ。もともとは生活用品製造卸を主としていた企業が大手家電メーカーを脅かすまでに成長を遂げた。

 アイリスオーヤマ家電を使った快適でおしゃれな日常をSNSにアップする主婦・敏森裕子さんがこう話す。

「両面ホットプレートがお気に入りです。以前は大手メーカー製品を使っていたんですけど、大きくて収納場所に困っていました。でもアイリス製は2つに折りたたんで収納できる。

 また、片面ずつ温度調整ができるので、片方で焼いて、もう一方で保温するといった使い方ができる。最近、片方でチーズフォンデュ、もう一方でオムライスを作って子供たちを喜ばせました(笑い)」

 同社の大山健太郎社長があるインタビューで「アイリスにはファンがたくさんいるんですよ。奥様方を中心に」と語っているように、アイリス製品は生活用品から家電まで主婦層から絶大なる支持を集めている。

 小型家電や白物家電の最大のお客である主婦層の心を掴む“主婦ファースト”の精神はどのように生まれているのだろうか。アイリス流のヒットの法則を紹介していく。

◆引き算の法則

「メーカーが“作りたいモノ”と消費者が“欲しいモノ”の乖離が、昨今の大手メーカーの衰退の原因。例えば携帯電話は機能を加えすぎて複雑になりすぎてしまった。でもアイリスは消費者目線で不必要な機能を削ぎ落とします」(雑誌『経済界』の関慎夫編集局長)

 また価格決定のプロセスにも引き算の法則はある。

「大手メーカーの価格設定は足し算です。製造原価に管理費などをプラスし、そこに利益を乗せる。一方、最初に『値ごろ価格』を設定し、そこから引き算するのがアイリス流。ドライヤーの価格を7000円と決めたらそこから利益、管理費などを引いて製造原価を割り出します」(アイリスオーヤマ広報の松下沙樹さん)

◆即断即決

 アイリスの強みの1つがスピードだ。家電評論家の戸井田園子さんの解説。

「アイリスは開発から発売までを3か月から半年ほどでやってのけます。秘密は毎週月曜日に行われる新商品開発に向けたプレゼン大会にあります。全社から各担当者が集まって丸1日かけて大山社長以下10人ほどの幹部に向けてプレゼンする。そして、その場で大山社長が商品化のジャッジを決めるため、一気に開発が進んでいくのです。

 しかも、一度OKが出た商品に関しては、いくら失敗してもお咎めはありません。全責任を社長が負いますから、社員は積極的に商品開発に力を注ぐことができます」

◆技術の受け皿に

 最近ではWi-Fi機能搭載のエアコンなど、高い技術が必要な製品を市場に投入しているアイリスオーヤマの開発現場には“技術の受け皿”としての側面もある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン