ライフ

電報の登場時、電柱に耳を当てて言葉を聞こうとする人が続出

海外技術をもとに国内製造されたデルビル磁石式壁掛電話機(写真提供/NTT技術史料館)

 2018年は明治維新から150年。維新とともに文明開化が一気に押し寄せた明治時代には様々な発明品が生まれた。暮らしに密着した明治の発明品を紹介しよう。

●蚊取り線香
 明治23(1890)年、世界初の蚊取り線香を発明、発売したのは、和歌山県有田市(旧・有田郡山田原村)で家業のみかん園に従事していた上山英一郎。「金鳥」でお馴染みの大日本除虫菊の創業者だ。みかん輸出のために会社を設立した上山は明治18(1885)年、恩師・福沢諭吉の紹介で米国の植物会社社長H・E・アモアと面会。その縁で除虫菊の種子を譲り受けて栽培、研究を開始する。

 殺虫成分を含む除虫菊は当初、ノミ取り粉として利用されたが、仏壇線香に除虫菊粉を加えることを思いつき、蚊の駆除ができる商品化に成功。最初の蚊取り線香は棒状で長さ20cm、燃焼時間40分だった。その後、妻ゆきが渦巻型を着想。試行錯誤を経て、睡眠時間に合わせて燃焼が6時間続く、渦巻型蚊取り線香が明治35(1902)年に発売された。

●乾電池
 世界初の乾電池が日本で生まれたのは、明治20(1887)年。発明者は、その約2年前に連続電気時計を発明していた屋井先蔵(やいさきぞう)だった。

 電池で動く画期的な連続電気時計を生み出したものの、使う電池が欠点の多い液体式の湿電池だったことが乾電池誕生の背景にある。薬品が染み出して金具が腐食する、寒いと液体が凍結して使えないなどの液体式の電池の欠点を克服するため、屋井は乾電池の開発研究に没頭した。

 後に大ヒットしたきっかけは、軍用乾電池として採用された日清戦争だった。冬場も凍結しない「屋井乾電池」だけが厳寒の満州で使用でき、戦地での勝利に貢献したという。号外で「満州での勝利はひとえに乾電池によるもの」と報道されたのを機に、一躍注目を集めた。屋井は「乾電池王」とも呼ばれた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン