そして2014年、3度目の正直も叶わなかったジャフコが買値と同じ100億円で、インテグラルに売却している。
インテグラルの佐山展生代表といえば、村上世彰氏に株を買い占められていた阪神電鉄を、阪急ホールディングスに経営統合させるうえでアドバイザーをした人物で、近年はスカイマークのスポンサーとなって同社の会長(2015年~)を務めている。スカイマークもいずれ、出口戦略として株式再上場を成し遂げるだろうが、スカイマーク案件に先駆けて今回、4度目の正直でキュービーネットHDの上場を果たすこととなった。
では、キュービーネットHDの株式公開でどんなメリットが出てくるのか。前述したように、QBハウスは基本、薄利多売のモデルで国内は同業者も増えており、少子高齢化が進展する中、将来も高い伸びを期待できるかといえば疑問だ。そこで、主として海外展開を強化、加速する原資を上場によって確保し、併せて株式公開企業という信頼感も得ることになり、競合者との差別化を拡大できる。
一方で、消費者にとっては上場でどんなメリットがあるのか。資金調達したからといって料金が安くなるとは思えず、人手不足の折なので、ヘアカットのスタッフの待遇がアップし、それがいいサービスに反映される期待感ぐらいだろうか。もしくは、キュービーネットHDの株式を購入予定の個人投資家には、株主優待として1回分か2回分の“ヘアカット無料券”はあるかもしれない。
●文/河野圭祐(『月刊BOSS』編集委員)