というわけで、いまではQBハウスと同じビジネスモデルで事業を展開するところも増えている。たとえば「カットファクトリー」(運営会社/ジャパンプロデュースサービス)。ちなみに、筆者も勤務先近くのQBハウスでサッとカットを済ませることが多く、自宅最寄り駅近隣に格安バーバーはこれまでなかったのだが、1年半ほど前、その最寄り駅から徒歩30秒という至近場所に「カットファクトリー」が進出。
そこで今回の執筆を機に、QBハウスとの違いがあるのか否かを体感するため、とある休日にカットファクトリーに行ってみた。
店内を見るとそれなりに客数も回転している様子で、料金も設備もサービスも何から何までQBハウスと同じだったが、1つQBハウスと違ったのは、券売機に設置されているタッチパネルだった。
お金を機械に入れる前にまず、そのタッチパネルに触れ「男性」「女性」「お子様」の別と、「初めて」「2回目」「3回目」「4回目以上」という項目を選択する。このデータを集積することで、客の属性や来店頻度などを分析し、次のサービスや改善点につなげようということなのだろう。また、カット終了時に「まだ細かい毛が残っているので早めのシャンプーをお願いします」という一言もQBハウスではなかったもので、丁寧な印象を受けた。
QBハウスとカットファクトリーは、料金やサービスがまったく同じとなると、勝負になるのはやはり出店場所。しかし、人通りの多い駅近や商業施設、駅改札内などの好立地は家賃もそれだけ高くなり、薄利多売でないとなかなか成立しないのがこのビジネスだ。
だからか、前述したようなキュービーネットHDという社名が示すように、旧キュービーネットは2016年7月に持ち株会社化し、QBハウスのほか、「FaSS」という新しいスタイルのカットサロンや、介護施設や病院を訪問する理美容サービス、スタイリスト育成事業など、複数のビジネスを擁するに至っている。そして、ようやく悲願だった株式公開に辿り着いたわけだ。
創業者である小西氏が株式上場を断念したのが最初だとすれば、1号店出店から10年後の2006年にオリックスに譲渡したのが2度目。結局、オリックスは30億円で買ったキュービーネット(当時)の株式を2010年、ジャフコに100億円で売却したので利ザヤは稼いだが、オリックスも上場は果たせなかった。