「小学生に英語は必要か」「いやその前に国語力が必要だ」──といった論争が起きていたのは、今は昔。現在の子育て世代の関心事は、「プログラミング学習は必要か」となっている。2020年、小学校でプログラミング学習が必修化されることになり、首都圏を中心に、教育意識の高い家庭では、子供がプログラミング教室に通うのはもはや珍しくない光景だ。
しかし、「プログラミング」という言葉がひとり歩きして、実際はどんなことをやっているのか、何を学ぶのか、今ひとつわからない。「とにかく習わせておかないと出遅れるかも……」と親(特に母親)たちが焦っているのが実情ではないだろうか。そんな大人のために、なぜプログラミングが必要だと言われているのか、あらためて整理してみたい。この2月に学習書籍『サイバーエージェント公式 こどもプログラミング』を出版した小学生向けプログラミング教室Tech Kids School(テックキッズスクール/株式会社CA Tech Kids運営)に、プログラミングにまつわる素朴な疑問を投げかけてみた。
●疑問1 そもそもプログラミングって何をするの? 「論理的思考」が身につくって本当?
プログラミングを一言であらわすと、「コンピューターにさせたい仕事を命令していくことです」(Tech Kids School広報)。その命令の方法や考え方を学んでおこう、というのがプログラミング学習だ。でもキーボードを叩くことで、なぜ論理的思考力がつくというのだろう。
「私たちは、あえて『論理的思考が身につく』とは喧伝していません。しかし『プログラミング的思考』って何だろう、という話になったとき、当スクールの卒業生が面白いたとえを言いました。『物わかりの悪い相手に、こちらの言いたいことをわかってもらえるように説明していくことだ』と。例えば相手に歩いて欲しいとき、『歩く』ことを知らない人には通じないので、『右足を1歩前に出す、次に左足を1歩前に出す、それをくり返す』を伝えることがプログラミング的思考だ、ということです」(同前)
コンピューターは、正しい命令をしないと思ったように動かない。そのためには、主語、述語、目的語など、言葉を正確に理解し、使う力が必要になる。コンピューターが正しく動くまで、なぜ動かないのかその理由を考え、新しい方法を試そうとする力もつく。そして、その過程を通し、やり遂げる粘り強さも生まれる。
「これら『プログラミング的思考』能力が身につくことは、たしかに子供の成長に有益だと思います」(同前)