国内

香山リカ氏と櫻井よしこ氏が考える“介護食”で大事なこと

自宅介護で母の好きなものを食べやすく料理しているという櫻井さん

 親も自分も元気だったら、「食べたいものを死ぬまで食べたい、食べさせたい」と笑って話せるだろう。しかし、いざ親が要介護になると、家族は親に食事制限を強いてしまうこともある。

 精神科医の香山リカさん(57才)が語る。

「腎臓を悪くした父に長生きしてほしい一心で、食事内容を管理していました。両親と離れて暮らしていたので、食事内容を母にFAXしてもらい、栄養素を計算して『おやつはだめ』『この内容は腎臓に悪い』と制限した。それが父には苦痛で、『そこまでして食べたくない』と食欲がなくなってしまった」

 制限したことを後悔すると同時に、父がいかに食に喜びを見出していたのかも痛感した。

「ラーメンが好きだった父は、最期まで『あの時のあのラーメンはおいしかったな』と昔食べた味に思いを馳せていました。おいしかった食べ物の記憶は色褪せない。だからこそ人生の終わりに食べたいものを食べられないのは悲しいですよね」

 人生の終盤を迎えた親にとって、もしかしたら、ひと月先の夕食が、1週間先の昼食が「最期の晩餐」となるかもしれない。ならば好きなものをおいしく楽しく食べてほしい。とはいえ、すでに介護食を摂っている場合、常食に戻すことは可能なのだろうか。

 高齢者歯科学を専門とする、東京医科歯科大学の戸原玄准教授の調査によれば、「常食が困難」と診断された患者5000人以上のうち、85%はまだ食べる力が残っていることがわかった。

「嚥下障害は訓練によって改善する可能性が高い。実際に脳梗塞で倒れ、医師から“一生口から食べられる可能性はありません”と宣告された患者さんが、2年のリハビリで、口から食べられるようになった例もあります。嚥下障害は、筋肉の衰えによって起こることが大きいので、お年寄りには予防のためにも筋トレやストレッチを実践していただいています」

 そう語る戸原准教授がとくに勧めるのは、あばらとあばらの間の筋肉のストレッチだ。胸の前で両ひじを軽く持ち、そのまま頭の上まで持ち上げるようにすると、肋間筋がよく伸びて柔らかくなり、呼吸が深くなってむせにくくなる。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン