そのほか、口を大きく開けたり、素早く開閉を繰り返したりという、口まわりの筋肉を刺激すると誤嚥が減る。筋トレやストレッチなどのリハビリを経たら、ゼリーをのむ練習をすることが多いという。それに慣れたら、カレーライスやグラタン、スープやオムレツなど普通の食事の中にあるのみ込みやすいものを、少しずつ無理のない範囲から試していく。
これを実践するのが、ジャーナリストの櫻井よしこさん(72才)だ。櫻井さんは2005年から実母・以志さん(107才)を自宅介護しており、食事は「好きなものを口から食べさせる」ことを第一に考えている。
「母は自分で動けませんし、少し言葉が出づらくなっていますが、それを除けば私たちとまったく同じ。だとしたら、誤嚥を恐れて流動食なんて人生楽しくない。私たちと同じに、口からおいしいものを食べて、食べる楽しみを感じてもらいたいんです。おかゆから始まり、おかずやデザートまで、7品をコースにして毎日出しています。私よりよっぽどバランスのとれたおいしいものを母は食べていますよ(笑い)」
料理は少し噛み応えのあるサイズにして、口当たりを楽しんでもらう。そして目でも楽しめるよう、彩りよく盛り付けている。
「くも膜下出血で倒れた時は、植物状態になるかもしれないといわれていたのですが、お医者様もびっくりするくらいの回復です。今ではステーキも食べられるようになりました。母から食べる楽しみを奪わなかったことも、衰えなかった理由の1つだと思います」(櫻井さん)
※女性セブン2018年3月15日号