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2018.03.09 16:00  週刊ポスト

【著者に訊け】佐藤卓氏 『大量生産品のデザイン論』

〈その商品の価値は、すでにそこに存在しているのです。私の役割は「見つけて」「引き出して」「つなぐ」こと。まだ誰も発見していなかった、そこに内在されている魅力を見つけて、引き出して、デザインのスキルでつないでいく。

 もっとはっきり言うならば、デザインは決して「付加価値」をつけるものではないのです。「価値はすでにそこにある」のですから、その価値をピックアップして生かすのがデザインであって、デザインによってそのものの価値を上げようなどとは思ってもいません〉

 父もグラフィックデザイナーで、佐藤氏が小さいころは自宅に仕事場があった。東京藝術大学にできたばかりのデザイン科に進み、大学院修了後は電通に入社する。3年で退社するが、電通時代に始めた、ニッカ・ピュアモルトの商品開発とデザインを独立後も手がけ、注目を集める。

 デザインした〈大量生産品〉のひとつに、「ロッテ クールミントガム」がある(現在はデザイン変更)。もともとのパッケージにあったペンギンを5体、ガムの側面に並べ、2番目のペンギンにだけ小さく手を挙げさせて、従来の商品のファンに向けた物語性をひっそりしのびこませた。

〈今までのデザインの中にあった「財産」はすべて残す〉のが流儀である。長く市場で流通することを期待される商品だからこそ、それまでのファンも大切にしつつ新規の顧客を開拓しなければならないというのだ。

◆やりとりを通じ価値を引き出す

 組織の外側にいて商品の価値を見つけて引き出すためには、開発にかかわる人たちに〈話を聞くこと〉もデザインにおける重要なプロセスである。同時に、自分のアイディアをわかりやすく説明することも大事で、〈インタラクティブなやり取り、コミュニケーションが大切〉だと説く。

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