スポーツ

伊調馨 「パワハラ告発」の動機は「コーチの娘」か

2016年のリオ五輪(時事通信フォト)

 五輪四連覇し国民栄誉賞も受賞した女子レスリングの伊調馨が、日本レスリング協会の幹部からパワハラを受けていたとされる問題。「告発状には関わっておりません」と正式にコメントしながら、パワハラの内容については否定せず、伊調の態度がまるで、告発側の行動を容認しているかのようにみえるのはなぜか。

「自分のことは二の次で、これから五輪を目指す若い選手たち、とくに田南部さんのお子さんたちのことを気づかってだと思います」

 こう話すのは、伊調が北京五輪後のカナダ留学から帰国後、拠点を東京に移した頃の様子を知るレスリング関係者だ。

「馨さんは、レスリングのために中学卒業と同時に青森から愛知県の中京女子大学付属高校(現・至学館高校)へ進学したから、親元を離れるのは早かった。でもずっと寮生活だったし、カナダへの留学も姉の千春さんと一緒でしたし、本当の一人暮らしは東京に来てからが初めてでした。その時期に、レスリングの指導だけでなく、家族ぐるみで田南部コーチとは仲良くなっていったんだなと周囲からは見えていました」

 田南部コーチとは、伊調馨が協会幹部にパワハラを受けていると内閣府に提出された告発状に「関係者B」として登場する、2009年以降の伊調を指導していた、警視庁の田南部力コーチのこと。代表合宿のためよく家を留守にする田南部に会うため、現役時代から妻と子供たちはナショナルトレーニングセンターへよく足を運んでいた。そのなかで、自然と田南部の子供たちと伊調も親しい関係を築いていったようだ。

「とくに当時、小学生だった娘さんは馨さんにすごく影響を受けたと思います。彼女は中学生になるとき将来の五輪選手を養成するJOCのエリートアカデミーに入るのですが、女子レスリングの金メダリストである馨さんと親しくなったことで、五輪の金メダルを目指す決心がついたように見えました」(前出の関係者)

 その後、全国中学生選手権で優勝した田南部氏の長女は2014年、2015年と世界カデット(16、17歳)選手権で優勝。成長期のため階級をあげる時期に入ったこともあり、優勝ばかりではなくなったが表彰台に上がる常連だ。ところが、このところ女子の代表合宿にまったく招聘されない。代表合宿には3位以内の選手が招聘されるのが通例だが、2位だったときも呼ばれず、同じ大会で3位の選手は合宿に参加するという奇妙な現象も起きた。内閣府に提出された告発状には、この件もレスリング協会幹部によるパワハラのひとつとして記されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
神谷宗幣氏(写真中央)が率いる参政党は参院選で大躍進した。東京選挙区でも塩入清香氏(右)が当選(2025年8月写真撮影:小川裕夫)
《午前8時の”異変”》躍進した「参政党」、選挙中に激しい応酬のあった支持者と反対派はどこへ?参院選後の初登院の様子をレポート
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト