いわゆる「まとめサイト」をつくるには、専門の知識は必要ない。今では本当に簡単に、誰でもすぐに開設する事ができる。大手コミュニティサイトが無料で提供しているブログサービスには「まとめサイト用」のテンプレートまで準備されており、グーグルアドセンスなどの「アフィリエイトプログラム」に登録さえしていれば、今日からでもブログで収益を上げる事ができてしまう。ただし、儲かるにはそれなりの数の訪問者が求められる。

 当然、ブログに人を呼び込むには相当の努力が必要であり、簡単に莫大な利益を得る事は出来ない。手っ取り早いのは、藤本さんのように真偽不明な情報を、時にはデマでさえも記事にして、センセーショナルなタイトルをつけて発信することで、アクセス数を稼ぐ手法だ。

 サイトの閲覧者が増えれば、アフィリエイト広告をクリックする人もおのずと増えるし、前述したように来訪者に「仮想通貨のマイニング」をさせることで、収益化につながる。そういった目論見が藤本さんにはあったようだが、記事の更新は三ヶ月ほどで停止され、その後は放置していたという。いわく「ブログをやっていたことも忘れていた」というが、藤本さんにとっては「その程度のこと」であっても、ブログは今なお存在し、事実無根の情報は、ネット検索に表示され、リアルタイムで拡散され続けている。この事実の重みについて、藤本さんは何一つ理解していないようでもある。

「でも……誰も見てないし、これで名誉毀損とかになるんですか? 逮捕されないですよね? そもそもネットに書いてあった情報だし、私だって騙されていたのかもしれないし……」

 ネットならば、事実かどうかわからないセンセーショナルな記事を、匿名で書いても平気だと思うのは間違いだ。昨年、この芸能人Xではない別の俳優に関して真偽不明の誹謗中傷記事をネットに書いていた40~60代の男女が書類送検された。まとめサイトの記事が原因で問い合わせが増え、業務の妨げになると俳優の所属事務所が警察に相談していたのだ。藤本さんも、同じように根拠がない記事執筆の責任を法で問われる可能性がある。

 最後は筆者に「どうしたらいいか」などと、相談までしてきた藤本さん。反省はしていたようだが、その反省も単なる自己防衛のためのものに過ぎず、根拠なく薬物中毒だと指摘した芸能人Xに対する謝罪もなければ、自身が犯した罪の重さについての言及も一切なし。ブログを消せば? というアドバイスに「パスワードがわからなくて消せない!」と泣きじゃくるのだから、もうどうしようもない。

 世界中で問題視されている「フェイクニュース問題」は、単なる金儲けだけでなく、政治性が強かったり、誰かを貶めてやろう、蹴落としてやろうといった意図を孕んだもので、悪質性は極めて高い。一方、日本国内でも氾濫し、増え続けている「まとめサイト」の大多数は、その管理者や制作者側に明らかな悪意が込められたり権謀術数にたけたものは少なく、本人らの罪の意識も薄い。しかしながら、金儲けのために真偽不明の嘘情報、フェイクニュースの作り手になっているという事実には変わりなく、放っておけば大変な事態になることは明白。「取り締まるには限界がある」と警察関係者も肩を落とすが、法規制を含めた一刻も早い対処が待たれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン