──ペットロスを癒すために薦められていたグリーフケアとは?
南里:よく用いられるグリーフケアは、嗚咽や涙、ため息など出てくるものを素直に出し切ること。共感してくれる人と会って話したり、そういう人がいなければ創作に向かったり、本を読むことなども有効とされます。立ち直り方は人それぞれなので、自分に合うものを見つけられるといいですね。シッポのある友達と暮らしたことのない人からはたかが猫でと言われるようなこともあって、悲嘆(グリーフ)への理解の深さは、まだまだ人の家族を亡くしたときと違います。ですが、子どもとペットの死は、伴侶を亡くしたときの悲しみの倍とも言われるそうです。
──たくさんの猫の看取りをしてきて感じたことは、どんなことでしょうか?
南里:老いも死も自然の循環の中にあり、反発したり抵抗するより、受け入れる力を身につけることが重要だと思います。猫たちはそれをあたりまえにやっているんです。目が見えなくなったら、見えなくなった中での生き方にしなやかに変えていく。過去を悔いたり未来を憂いたりせず、「今」を生きています。猫を見ていると、人は余計なことをいっぱいやっているなと気づかされます。人は猫を飼っているんじゃなくて、実はものすごい学びをもらっているのだと思います。猫は生から死に至る全行程を私たちに見せてくれて、こうやって生き抜くんだよってお手本を見せてくれている気がします。
【南里秀子(なんり・ひでこ)】
1958年生まれ。1992年、猫専門のシッティングサービスを創業。猫の生涯保障部門を14年間運営(現在は廃止)、キャットシッター育成や猫に関するセミナーを展開している。著書に『猫の學校』(ポプラ社)『猫と暮らせば』(小学館)など。