鍛治舎監督の言葉に耳を傾ける部員たち(写真:藤岡雅樹)


 こうした歯に衣着せぬ発言は高校野球の監督としては珍しく、閉塞的な高野連に対しても積極的な提言を行うのが鍛治舎だった。だからこそ彼は必ず高校野球に復帰する。このまま隠居するはずがない──私はそう確信し、退任後も交流を続けてきた。彼には20校以上の学校から誘いがあったが、「大義名分がない」と言って、断り続けていた。

「以前にも県岐商からお話はあったんですが、甲子園で4回優勝、6回準優勝している学校を率いてもロマンがなかった。ところが、最近は低迷して状況が変わった。母校ですし、全国の商業高、工業高が似たような状況にある。ご奉公として母校を立て直す。そんな大義名分が生まれました」

 県の教育委員会から社会人指導者への報酬として鍛治舎に支払われる額は驚くほど少ない。

「一日2時間しか給料が支払われず、時給が1420円だったかな。土日は支払われないから毎月約6万4000円で、年収はだいたい70万円ぐらいになる見込みです」

 全国から選手を集められた秀岳館と違って、県岐商は選手勧誘も岐阜の中学生にしか声をかけられない。

「地元で生まれた子は地元で生かす。地産地消です。いや、才能を消費したらいかんし、生かさないといけないから“地産地生”ですね。大阪桐蔭の根尾(昂)君のように、岐阜の有望選手を流出させたらいかんでしょう。(大阪桐蔭の)西谷(浩一)監督や浦和学院の森(士)監督には、『岐阜には来るな』と伝えてあります(笑)」

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