どうやら、大学関係者がスキャンダルを起こしたり、あまりにも印象深い言動を取ったとしても採用担当者はそこまで気にはしないようだ。だが、就活における「大学のネームバリュー」については昨今変化があるという。元来の採用においては、旧帝大や早慶といった大学が強みを発揮してきたが、最近では採用担当者側から徐々に人気が上がってきた大学もあれば、特定大学の特定学部が存在するというのだ。
「最近の採用活動において良い意味で話題になるのは大学単位では、立命館アジア太平洋大学と明治大学。特定大学の特定学部では、早稲田の国際教養学部、立教大学の経営学部などですね。今や早慶を辞退して、明治や立教へ行く人もいる時代です。この2つの学部はしっかり教えていると評価されており、企業の人事もこの点には注目しています。一部の学部に関しては、学内で『あいつらはエリートだよね』と呼ばれています。ここまで関東の大手中心の話をしていますが、地方にも優れた私学があります。金沢工大などは学生生活が充実していると評判です」
◆早慶でも下位の学生にはキツい時代
昨今「学歴フィルター」の問題が再燃している。ネットでは、自分が実際に所属する大学名で企業説明会に応募したところ、「満席」の文字が出たのだが、上位校と偽ったIDで応募したら説明会にエントリーできたという報告があったのだ。このことは確かに学歴フィルターが存在することの証拠といえるが、以前ほどではないという。そのキーワードが「ターゲット校」だ。企業の人事は採用活動開始前にどの大学から何人取りたいか、といった設定をするが、杓子定規に高偏差値大学から採ろうという状況にはなっていないという。
「企業のターゲット校設定は変化しています。リーマン・ショック後は6割の企業がターゲット校を決めていましたが、現状、決めている企業は4割ほどになっています。売り手市場だから企業としては贅沢を言っていられないというのもありますが 大学のラベルだけでなく、レベルを見る動きになっています。
以前は『早稲田から○人取ったぞ! 慶応からも×人取ったぞ!』と自慢する経営者や人事がいました。でも、早稲田って1学年に1万1000人いるわけで、色々な人がいるわけですよ。○○大学だから採るという以前に、幅広い大学から取ろうという流れになっています。早稲田や慶応の下の方の学生を取るよりは様々な大学のトップ層を採った方がいいのでは、ということですね」
ということは、いわゆる「上位校」でない学生であろうとも、自身が通う大学でトップクラスの優秀さを維持し続ければ就職活動でも高く評価されるということだろう。