スポーツ

クロマティの「右ストレート」乱闘、満月の影響と宮下昌己氏

右ストレートがクリーンヒットした(共同通信社)

 1987年6月11日、熊本藤崎台球場で行われた巨人―中日戦で、伝説の乱闘が起きた。中日の投手・宮下昌己が投球を背中に当てたことにクロマティが大激怒。マウンドで宮下に右ストレートを浴びせると、中日・星野仙一監督も飛び出しての大乱闘になったのだ。

 その年、星野監督率いる中日の最大のライバルは球界の盟主・巨人だった。中日優勝を阻む最大の障壁は、巨人の主砲・クロマティだった。6月11日、リリーフの宮下は、「舐められてたまるか」との強い思いでマウンドにのぼった。

「見上げると満月でした。満月って、なぜか気持ちを昂ぶらせるじゃないですか。(星野)監督からは『ぶつけろ』の“指令”が出ることもありましたが、あの日は単独犯でした。狙うつもりだったので、捕手の(中村)武志に『次行くから頼むな』と声を掛け、戦闘要員のガンちゃん(岩本好広投手)にも『助けに来てね』と耳打ちしておきました」(宮下)

 初球がクロマティの背中を直撃。温厚な性格で知られるクロマティもこのときばかりは大激怒し、マウンドに向かいながら「帽子を取れ」と宮下に謝罪を要求した。

「マウンドまでは来ないと思っていましたが、クロマティを止めてくれるはずの武志は、転がったボールを拾いに行っているじゃありませんか。約束が違うじゃないかと思いながらも、謝るつもりはなかった。失投なら謝るが、こっちは当てに行っている。謝ったら筋が通りません。それに英語もわからなかったし(笑い)」(宮下)

 そんな宮下の態度にクロマティが激昂、マウンドに向かうと強烈な右ストレートを宮下の顔面に炸裂させた。

「目の前に来たときは『やばい』と思いましたが、気がついたときはパンチを食らっていました。当時の野球選手はみんな殴られ慣れていたので、私もとっさに受け身をしていた。ダメージはなかったから続投させてほしいと言いましたが、診断書をもらってこいと病院に行かされました。星野さんは乱闘を予想していたのか、次のピッチャーをすでに準備させていたんですよ(笑い)」(宮下)

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト