ところが、安倍首相の頭の中は北朝鮮でいっぱいで、世界が期待する貿易問題の解決など見えていない。
より正確に言えば、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が中国の習氏を皮切りに、韓国の文在寅・大統領、米国のトランプ氏と相次いで首脳会談を行ない、自分だけが蚊帳の外に置かれて対北朝鮮問題が“安倍抜き”で話し合われることに焦りまくっているのだ。
日米首脳会談への意気込みを語った政府与党連絡会議(4月2日)でも、首相の口から「関税問題」の言葉はなかった。
「2日間にわたりじっくり日米首脳会談を行ないたい。最重要課題である拉致問題についても、トランプ大統領に、来る米朝首脳会談において取り上げるよう直接要請します」
拉致問題の交渉相手はあくまで正恩氏のはずだ。トランプ氏に“金正恩に口利きしてほしい”とお願いするために訪米するのでは、足元を見られるのは当たり前である。
※週刊ポスト2018年4月20日号