「東日本大震災で東京都は震度5強の揺れを観測しましたが、完全に崩壊した建物はありませんでした。震度6強で、旧耐震基準の建物が全てぐちゃぐちゃになるとは思えません。
今回の東京都の発表は『倒壊し、または崩壊する』という言葉を、広く使い過ぎている印象を受けます。たとえば、一部にヒビが入ったり、ピロティ(吹き抜け)部分の柱の一部が折れたり、そういう壊れ方まで『倒壊』と表現している。でも、これらは『完全崩壊』というわけではありません」
このように専門家の間でも見解が分かれている。それでも、「新基準を満たさない建物には出入りしたくない」という人には、見分け方があるという。
「都が認めた耐震力を備えた建物には、白抜きで三重丸が描かれた青いステッカーの“東京都耐震マーク”が貼られていますので、ひとつの目安となるでしょう」(防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏)
ただし、このステッカーは希望制のため、新基準をクリアしていても掲示しない建物も多いという。
備えあれば憂いなし、の考えの下、各施設が今後どう対応していくかなど、情報には敏感でいたい。
※週刊ポスト2018年4月20日号