ビジネス

賃上げを団体交渉する労働組合は社員2人集まれば結成可能

社員同士が一致団結すれば会社を動かせる

 タレントのビートたけしが自ら立ち上げた芸能事務所「オフィス北野」を退社し、新事務所に移籍した独立騒動は、オフィス北野が新体制構築と経営の立て直しを図る方向でひとまず収束したが、今回の内紛劇で浮かび上がってきた組織内の対立は一般企業にもあること。社長や役員の高額報酬に対する不満、社員や従業員の集団離反──。だが、「辞めることだけが最善策ではない」とアドバイスするのは、社会保険労務士の稲毛由佳さんだ。

 * * *
「自分が辞めたら、会社は困るはず」──。会社への不満から退職を決意された方から、このような言葉をよく聞きます。ましてや、自分ひとりではなく、一斉退職となれば、「会社は立ち行かなくなるだろう」と、思うかもしれません。自分をひどい目に合わせた会社を懲らしめてやりたいという気持ちになるのは自然なことですが、組織の底力を甘く見てはいけません。

 確かに、一時的には困るかもしれません。けれども、しばらくすれば、新しい人が入ってきたり、同僚や部下が上がってきたりして、退職者の穴は自然に埋まってしまいます。辞めてはみたものの、自分が思い描いたような転職先が見つからず、結局、困ったのは会社ではなくて、辞めた自分だったというのも、よくある話です。

 一致団結するパワーは退職することではなく、会社の改善のための交渉に向けるべきなのです。では、交渉のための一致団結の仕方は、どのような方法があるのでしょうか。

(1)労働組合を作る

 労働組合には、法律で様々な特典が与えられています。代表的なのが団体交渉権です。労働組合法では、会社が労働組合からの団体交渉の申し入れを正当な理由なく拒否することは「不当労働行為」として禁止されています。

 さらに、単に応じるだけではダメで、誠実に交渉に対応する義務も課しています。もし、会社が正当な理由なく団体交渉を拒否したり、誠実な対応を行わなかったりした時には、労働委員会に救済を申したてることもできます。

 じつは、労働組合は簡単に作れます。まず、役所への届出や認可といった手続きはいりませんし、会社の承認を得る必要もありません。人数は2人いれば結成可能。あとは、名称、所在地、総会や執行委員会といった意思決定機関、予算の編成や承認方法等を定めた組合規約を作成し、結成集会を開けば、労働組合の誕生です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン