「証人喚問が実施されても、柳瀬さんは『記憶にありません』と言い張るだろう。本人が認めなければ、メモだけでは官邸がかかわった証拠にならない。喚問はガス抜きに終わる」(首相側近)
多くの疑惑を乗り切ってきた官邸サイドはなおも強気な言い方をするが、安倍首相にとって、一連の公文書疑惑の展開は今までとは違う。一つの疑惑を逃げ切ったと思うと、官僚が忖度して処分したはずの不都合な記録がどこからか漏れ出し、それを首相の「天敵」である朝日新聞がスクープする。いつまで経っても「底なし沼」のように疑惑から抜け出すことができない。
だとすれば、今度こそ、“あるはずがない”と思われている決定的な証拠が表に出て首相を直撃するかもしれない。官邸が怖れているのは、柳瀬発言の録音データの公開である。首相の出身派閥・細田派の中堅議員は疑心暗鬼になっている。
「中村知事は安倍総理とは衆院の当選同期。元日本新党代議士だが、県議時代から清和会(細田派)との関係が深かった。中央政界をよく知る中村知事が会見で思い切った言い方をしたのは、録音データなどよほどの証拠を握っているからではないかと見て、官邸は神経を尖らせている」
実際に、柳瀬発言は録音されていた可能性がある。本誌・週刊ポストは愛媛県庁でひそかに「録音データ」探しが行なわれているという内部証言を得た。