国内

女子高生の妊娠が生む貧困、学校は自主退学を止めるべき

女子高生の妊娠、自主退学が貧困を生む(写真/アフロ)

 3月30日、文部科学省はこれまでにない実態調査を発表した。女子高校生の妊娠についての『妊娠した高校生の在籍状況2015~2016年度』調査を公表したのだ。全国の公立高校(3571校)が把握している妊娠は2098件。うち3割(674件)が自主退学していた。しかも自主退学の中には学校の勧めによるものが32件あったという。

 妊娠した女子高生の在籍状況は、「産前産後を除き通学継続」したのは、37.1%。「本人・保護者の意思で自主退学」が、30.6%。「妊娠・育児を含めた休学」は、9.0%。「転学」が8.5%。そして、「学校の勧めによる自主退学」が、1.5%いた。

 そもそもこの妊娠退学問題は、日本の性教育の遅れが招いているという声もある。国際政治学者の三浦瑠麗さんは言う。

「この調査は、妊娠をした後に“産む”と判断した人の数字でしかありません。その前段階で、ひそかに中絶している人も多いはず。日本では中絶が合法ですが、それ以前の問題として当たり前の避妊策が普及していません。そのため、中絶数は3900万件(1924~2015年)と世界で5位という多さです」

 中絶率の高さは、すなわち避妊教育の未熟さを裏づけている。ユネスコのガイダンスでは、コンドームなしの性交のリスクを教える必要性は小学生からということが推奨されている。だが、日本では、小中高校いずれも性交について教えてもいない。

「性交しないことを前提としているため、確実な避妊方法を教育するまでに至っていません。結果、男性が女性を妊娠に追い込んでしまうことのリスクも自覚していません」(三浦さん)

 高校生の妊娠が世間から批判を浴びる日本で、今から40年ほど前、15才の中学生が妊娠・出産するセンセーショナルなドラマが放映された。『3年B組金八先生』(1979年、TBS系)だ。

 宮沢保(鶴見辰吾)との間に子供ができた浅井雪乃(杉田かおる)は、親から見捨てられるなか、学校に踏みとどまり、教師やクラスメートの理解を得ていく。そこで金八(武田鉄矢)は、生徒たちに愛の授業、いわゆる性教育を行うのだった。同作品の脚本家である小山内美江子さんは当時を回顧する。

「この話は決して中学3年生で子供を産んでいいよというメッセージではありません。学生が性行為に及ぶということはこういうことなんだよということを伝えたかったんです。中学での出産は早すぎる、だけど彼らの“身ごもった命を大事にしたい”という考えに文句は言えるのだろうか、と。そして性をきちんと学ぶことの大切さを知ってほしかったのです」

関連記事

トピックス

海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
政治資金の使途について藤田文武共同代表はどう答えるか(時事通信)
《政治資金で使われた赤坂キャバクラは新規60分4000円》維新・奥下議員が訪れたリーズナブルなキャバの店内は…? 「モダンな内装に個室もなく…」 コロナ5類引き下げ前のタイミング
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
神奈川県藤沢市宮原地区にモスクが建設されることが判明した(左の写真はサンプルです)
《イスラム教モスク建設で大騒動》荒れる神奈川県藤沢市 SNSでは「土葬もされる」と虚偽情報も拡散 市議会には多くの反対陳情が
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン