かつて中曽根首相が総裁任期延長後に力を残して退陣する際(1987年)、自民党では総裁選を実施せずに、安倍首相の父・晋太郎氏、竹下氏の兄・登氏、そして宮沢喜一氏の3人の総裁候補の中から中曽根氏が後継総裁を指名する「中曽根裁定」が行なわれた。
そして誕生したのが竹下内閣だ。弟の亘氏は当時の中曽根氏とは政治的実績も、党内の力も遠く及ばないにもかかわらず、いまや次期総裁を選ぶ「竹下裁定」の権限を持つことになった。
勝者を決める竹下氏を味方につけた者が次の政権の中枢に座ることができる総裁選のメカニズムを実力者たちだけがわかっている。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号